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2002年度 優良賞受賞 | これまでの受賞者

日刊工業新聞社主催 フレッシャーズ産業論文コンクール
優良賞受賞
世界で勝負する個性と技術を獲得する

ヤマハモーターソリューション株式会社
中村 麻里子

静岡県という言葉から、すぐに思い浮かぶものは何であろうか。富士山、茶、青島蜜柑、海、温暖な気候等、そのイメージは多様である。静岡は、豊かな自然に恵まれ、古くから交通の要所として発展してきた地域だ。産業面では製造業のウエイトが高く、製造品出荷額は全国5位と日本有数のものづくり県であり、農業や観光産業も盛んである。

その中にあって、私のホームグランドである浜松は、工業都市として発展してきた。例を挙げれば、楽器産業ではピアノは全国シェアの100%を占め、輸送用機器産業ではオートバイをはじめ、自動車やモーターボート等多種にわたり生産されている。大型店舗の進出が相次ぎ、サービス産業が盛んになってきている現在でも、浜松の経済の基盤は依然として製造業なのである。

本論文で中小企業の将来を考えるにあたり、浜松地域の製造業に注目することにしたい。浜松地域の製造業の特徴としては、次のようなものがある。1、国際的な大企業の本社が複数存在し、地域経済を支えている。2、グローバル指向が強く、特に大企業では外需に頼る傾向がある。3、地元大企業への部品下請が中心の中小製造業の比率が高い。4、既存産業の技術を源泉として新産業が発展し、技術が受け継がれている。この4点は、静岡県内の他地域と比較して際立っている。また、浜松の特徴としてよく指摘されるのがそのチャレンジ精神で、遠州弁では「やらまいか」と表現される。「やるだけやってみよう」という意味であり、また「自分ならばもっとよく出来る」といった負けず嫌いな気質も表している。浜松では、同業者間の競争によって競争力を磨いてきた経緯もある。ピアノやオートバイの生産における激しい競争の結果、生き残った企業が、現在ではその業界をリードしている。

現在、製造業界では部品の共通化・共有化が進んでいる。また、経済が世界規模になり、製品の製造拠点を海外、特にアジアへと移す動きが活発である。アジアへの技術移転によって、日本国内では新技術、新製品の開発が中心となるのではないかと予想されているが、新技術の開発の分野においても世界規模での分業化が進んでおり、その競争は激しくなっている。

大企業の影響を受ける環境の中で、中小企業が生き残る道はどこにあるのだろうか。

この問いに対する答えは、私が受けた新入社員研修にヒントがあると思う。研修では、「このような社員(人間)になって欲しい」というメッセージが盛り込まれていた。第一に、「自分を持つこと」である。これは、ものの見方や価値観をしっかりさせ、個性を確立させることを指すのではないかと感じている。第二に、「基礎を充実させること」であった。将来にわたって成長していくために、まず土台を築くことが大事であると教わった。そして、勿論「一流の技術を持つこと」である。個人として、技術という裏付けをもって確立されていて欲しい、ということであろう。

立ち戻って、企業について考えると、個人の場合と同じことが言えるのではないだろうか。企業が厳しい環境を生き延びていく為には、「国際競争力」を持つことが必要である。特に製造業において国際競争力とは、独自性(個性)と高い技術力、そしてニーズを的確に捉える力を指すのではないだろうか。

具体的には、
1、新分野に進出、または新製品を開発すること等により、下請企業から抜け出すこと
2、徹底的に専門化することによって、世界に通用する技術を獲得する
ことの2点であると思う。

2の例としては、浜松ホトニクス株式会社を挙げたい。同社は、「光に関係するもの全てを研究対象とする」という信念のもと、貪欲に光の可能性を追求し成長した企業である。現在では光産業を核として、宇宙産業、医療界にまで活躍の範囲を広げている。「この企業にしか出来ない」という顧客からの期待と信頼が、同社の選択肢を増やし、ビジネスチャンスを作ってきた。

中小企業が世界に通用する力を身につけた時、はじめて中小企業が自立できる。そうなれば、その企業の意思で自社の未来を選択できるようになるだろう。中小企業の未来は、独自性と高い技術力に裏付けられた国際競争力が握っていると言って良い。

(注)参考文献
坂本光司編著.『静岡県の誇る日本一企業』.産図テクスト.1996
坂本光司・小林茂編著『先進経営に学べ』日本工業新聞社浜松支局.1996
静岡総合研究機構編.『静岡県・起業家を生み出す風土』.静岡新聞社.1999
しずおか産業創造機構HP
http://www.ric-shizuoka.or.jp/index.asp
浜松市総務部広聴広報課.『浜松市市政要覧2002』
浜松ホトニクスHP
http://www.hpk.co.jp/



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