メインメニューを飛ばして本文へ

メインメニューを飛ばしてサブメニューへ

メインメニューを飛ばしてその他のメニューへ





2001年度 第3席受賞 | これまでの受賞者

日刊工業新聞社主催 フレッシャーズ産業論文コンクール
第3席受賞
生の情報を手に入れる

ヤマハモーターソリューション株式会社
鈴木 里織

私の勤務する会社は社員150名ほどで、『中小企業』に位置付けされる。私はあえて中小企業を選んだ。大企業では歯車の一つとなって全体が見えにくく、細分化された組織の中では入ってくる情報にも偏りが出てくる。一方中小企業では、社内における自己の仕事の大きさや位置付けが見え、また社内でも他の部署や別の仕事に携わる人がすぐそばにいることで、多岐にわたる新しい情報を取り入れやすいと考えたからである。入社して数カ月経ち、今私は自分の選択が正しかったという大きな確信を得ることができた。そしてそれは、私が入社前に持っていた情報そのものに対する考え方を変えた。

私の会社の業務は情報産業、まさにITである。よって社内における情報ツールなどの活用度は高く、電子メールや電子掲示板を大いに利用し、迅速な情報の共有化が図られている。しかし私が入社以降強く感じているのは、むしろITに頼らない人とのつながりによる情報の共有であり、そこに中小企業の特徴を生かしていることである。社内外の講習会やセミナーなど、人を通して情報を得ることを重視している。

それはこれまで受けてきた新人教育にもよく表れている。新人と重役数名、または新人と重役一名という形で懇談会や研修を行う機会が数多く設けられ、直接話を聴く、また質問をするという機会が多く与えられた。これにより知識が増えたのは当然だが、それ以上に上司の仕事に対する熱い思いを、話し方や表情など全てを通して深く感じることができた。今年の新入社員は私を含め9人。それぞれの表情がはっきり見えるほど近くで話し合うことの大きさを強く感じた。

この直接話をするということが、いかに重用であるのか。それは私たちの仕事が顧客の心をつかむことだからである。他の中小企業が顧客である私たちの会社は、セミナーを開き、プレゼンテーションをし、ミーティングを重ねるが、この最も重要な部分は必ずface to faceで行われる。言葉を電子メールや電話で伝えることも、会話を衛星中継で行うことも可能な時代になった。しかし、間接的な情報はどうしても人の思いが半減する。一方顔を会わせての会話では空間・時間を共有する中で、お互いが相手を五感で感じ取る。真に人の心を動かし、感動させるには、それ以上に自らも骨惜しみすることなく動かなければならないのである。

IT革命による発展はめざましく、あらゆる場面でオートメーション化が図られている。私たちが求める情報は大きくなり、簡単に、瞬時に手に入る。しかし情報の真の価値は量ではなく質である。真に重要な話し合いや決定が、互いの顔を見て、体に触れ合うところでなされるということは、これからも決して変わることはないだろう。

中小企業の発展の鍵は、生の情報の共有にあると考える。中小企業の人数と規模を生かしてそれをまず社内で行う。企業というものは、社員それぞれは独自の考えを持っているが、最終的には社員全員が同じ目標に向かって進み続けるものである。常に情報をギブアンドテイクできる他の社員との会話は重要である。公開された情報は誰でも手に入れることができるが、会話からの情報は、相手の経験を経ているためより深く中身の濃いものとなる。何百人、何千人と社員がいる大企業では不可能な、他の社員全員と会話をすることも、中小企業においては可能であり、それは共通の目標を再確認することにつながる。企業内のあらゆる部門、年齢の人と情報の交換を行い、情報のネットワークを広げることで、さまざまな視点から物事をとらえ、柔軟な考え方ができるようになり、社内全体も活性化する。社内外の講習会やセミナーを設けて、コミュニケーションの機会を作り出すことも有効であろう。

私たちは情報を手に入れ、それぞれが利用できるよう有効な知識に変えていく必要がある。生の情報は、人の心から来ているため人の心に最も入りやすく、力となる価値ある情報である。知識は個人にとって財産であり、豊富な知識を持つ社員が集まった企業は有力な財産を持っていることになる。

社内でこのように会話や人とのつながりを重視し、基盤ができていれば、自然と顧客との関係も同じように成り立つのではないか。私たちが相手にしているのは、情報ではなく人であり、心なのだから。これが私が入社して得た知識の中で、最も重要且つ有効なものである。

あるゲーム機のコントローラは初め、ボタンを押すだけのデジタルコントローラだった。ところが、「オン」「オフ」だけでは表現できない微妙な動き・力・大きさ(どのくらい「オン」なのか)を表現したいという要望に応え、アナログコントローラが登場した。名前は「アナログ」とついているが、実際は、デジタル化した情報が伝達されている。アナログは残るのか。それともアナログな部分もすべてデジタルに変換できてしまうのか。やはりこれからの時代、デジタルは万能となっていくのだろうか。



Copyright © YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. All rights reserved.